6.5. 科学のプロセス : 乳酸の蓄積は筋肉のほてりを引き起こすか
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「激しい運動の直後に感じる筋肉のほてりや痛みは乳酸が蓄積するから」 筋収縮の解明に関する研究によって1922年のノーベル賞を受賞した 1929年に、ヒルは、筋肉が嫌気条件下で乳酸を産生するという観察に始まる古典的な実験を行った
疑問
乳酸の蓄積が筋肉の疲労を引き起こすのか
仮説
乳酸の蓄積が筋肉の活動を停止させる
実験
切り取ったカエルの筋肉に実験室の溶液の中で電気刺激を与える
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2つの条件
乳酸の拡散を妨げる溶液
乳酸の拡散が可能な溶液
結果
乳酸が筋肉から流出しない場合には筋肉の活動が低下する
乳酸が流出できるようにした場合には筋肉の活動は著しく改善された
ヒルは「乳酸の蓄積は筋肉の活動の阻害の主要な要因である」という結論を導いた
ヒルの結論は何十年もの間、疑念をもたれずにきた
しかし、次第にヒルの結果に矛盾する証拠が蓄積してきた
ヒルが示した結果はヒトの体温の下では現れなかった
予想されるのとは逆に、乳酸を蓄積できない人々の中には、筋肉の疲労がより早く起こる者が素な持する
最近の実験はヒルの結論を直接否定している
今日でも、筋肉の疲労における乳酸の役割は熱い議論が闘わされている問題
筋肉の疲労における乳酸の役割についての権威にとらわれない見方は、科学の進展についての重要な点を示している
科学というのは動的であり、そして新しい証拠が明らかになったときには、常に修正が求められている